9月の終わり頃彼女は来なくなった



「風邪でもひいたんだ」
僕は思った






10月に入っても来なかった







一週間が経ち

友達と酒を飲んで帰ると
ポストには見知らぬ人からの
手紙が入っていた



「いろいろありがとね
わたしはほんとうに幸せでした

ありがとう バイバイ

ごめんね もみじ」


手紙と一緒にCDが入っていた




僕には手紙の意味が理解できなかった




何度も読み返したが

やっぱりわからなかった



布団にくるまった






天井を見上げた

後頭部を鈍器で殴られたように

唐突にわかったのだ



とりあえず僕は泣いた。


涙は2時間やそこらじゃ
枯れないことがわかった






空が白んできた頃

涙はようやく止まった







いつもは飛ばして聞く
ブランキージェットシティの「水色」を
できるだけ小さな音で再生した








ふと




タバコはやめようと思った