(洋side)
和之と別れた後、俺は5限をサボり街をうろついた。

『真中ってお前の事?』

そこで会ったのは3、4人の男達。
男達は俺を囲むように立っている。

「お前の事?」なんて質問しながら腕、掴んでるし。
俺が「真中」って確信してんじゃん。

『ナナコってわかるよなぁ?』
『…ナナコ?』
『先週、お前がフッた女だよッ!』

馬鹿言うな。
一々、覚えてねーよ…

『俺がどんだけ辛かったか… 思い知らせてやるよ!!』

男の鋭い拳が俺の腹部に深く入る。
痛みと息苦しさが同時に襲う中、俺は意識を手放した…




『ゲホッ…』

次に気付いたのは、薄ぐらい廃墟の中。

服も体もボロボロ。
こりゃ、意識ない間に散々やられたな…
すっげぇいてーし。

死にはしないだろうけど、いつ解放してくれるんだろう。

あー…
心に決めたね。
二度と彼氏のいる女に手を出さないと…

『真中、解放の時間だ。』
『…マジで?』
『マジマジ! 1番仲いい連れを呼べよ。 迎えにきてもらえ!』
『…』

解放の時間…か。
まだまだっぽいなぁ…

『俺の連れにまで手ぇ出すつもり?』
『それは迎えにきた奴次第だな。』

男はそう言いながら俺の携帯を開いて操作した。

馬ー鹿。
俺に仲いい連れなんていねーよ…
友達なんて切って捨てるもんだ。

…和之の番号は登録してないし。

『お、この和之って奴でいいな!』
『ッな…?!』

何で和之が?!
俺、登録してない!!

男は和之に電話して「迎えにこい」と言う。

駄目だ。
来たって帰してくれない!

『和之! 絶対に来るな!!』
精一杯に叫ぶと同時に男は電話を切った。

和之…




それから30分。
和之は俺達の前に姿を見せなかった。

『何だ? お前、見捨てられてんじゃん。』

男はゲラゲラ笑う。

いいんだよソレで…
友達なんかのために、自分が傷付く必要ない。