Hopeの事務所から見える風俗店。
「それ」を見るのは、もう癖になっていた。

今まで気付かなかったけど、あそこの女の子達は当たり前のように客と腕を組み出ていく。
きっと行き着く先はホテル…

お店では禁止されている本番も、ホテルならOKなんだろうか…

彼女もきっと……


『佳晴。』

窓の外を見ていた俺を後ろから太一が呼ぶ。
その表情に笑みは無い。

『それはお前の趣味か?』
『…趣味って…』
『趣味ならともかく、興味なら止めておけよ?』

…太一は本当に鋭い。
そうでなくては大勢いるホスト達をまとめる事なんて出来ないんだろうけど…

『…趣味でも興味でもない… 気になるんやわ…』
『気になる?』
『自分の母親がね… 心より体の繋がりを求める人やったから…』

だから太一がお客さんと関係を持つのも…
詩織が風俗で働くのも放っておけない。

「たった1人の人」
それを知ってほしい…

きっとそれが幸せに繋がるから…

『ねぇ佳晴… 綺麗事だけで片が付くほど世の中は甘くないんだよ?』
『…』
『俺だってそう… こんな店が無かったら今頃、連れと馬鹿やってるよ。』

背負う物はそれぞれある。

太一はHope…
詩織は生活…

俺は…何があるんだろう…

親も兄弟もいないこの街で、何を背負うんだろう。








《お電話ありがとうございます。 本日のご用件は―…》
『…詩織って女の子… 空いてますか…?』

誰かの重し…
俺が背負う事、できないのかな…?