初めてあいつを見た時は、時が止まったように動けなくなった。

周りの風景は全て写真に変わり、動いていたのはあいつだけ…

『…何見てんの?』
『あ、いや…』
『俺、男には興味ないんだけどね。』

決して美しい出会いではない。

だって…

『俺、裏庭の掃除当番っすから。』

裏庭の掃除当番の俺が見たモノは半裸の男女が抱き合っている姿。

そしてココは裏庭。

『掃除当番ねぇ… って事は1組なわけだ?』
『…』

馬鹿にされたという事はすぐに解った。

1組は商業科。
うちの高校で最も学力が低く、受験すれば誰でも入れると有名な科だ。

金髪の男は服装を直してスタスタと歩き出した。

『ちょッ 女は?!』

俺は置き去りにされた女を指差して言う。

『掃除当番なんでしょ? 片しといて?』

な、何だとぉ〜?!
チリトリに入らねーだろ!

でも放置するわけにいかないし…

『立てる?』

仕方なく手を差し延べると女は俺の手を振り払って男を追い掛けていった。

く…ッ くそムカつく!!

これが俺、和之と後の親友、洋との初めての出会いだった。