(新side)
そして温泉旅行当日。

『新… 聞きたい事がある。』
『俺も雅に聞きたい事がある。』

ツアーバスの中で前後に座った俺達は、お互い睨み合っていた。

『お前、紗奈と旅行なんだろ? 何で同じバスに乗ってんだよ。』

雅はちゃっかりと紗奈の隣に座る俺を指差した。

『お前こそッ 何でよりによって功ちゃん誘ってんだよ!』

俺も負けじと立ち上がり雅の隣を指差す。

『これは雛姫が…ッ』

そう、原因はヒナ嬢にあるらしい。

『私が功ちゃんを誘うように頼んだんだ!』

平然と言うヒナ嬢に思わず溜め息が出てしまった。

ライバル増やすなよ…

『ヒナをこんな危険な旅行に1人で行かせるわけないだろ?』

功ちゃんはニコニコしながら俺を見た。

『お前は可愛い妹(真由)でも守ってろ!』

つんとそっぽを向き、同時にドスンと席に座る。

『ねぇねぇ、今のが真由のお兄さん?』

紗奈がコソコソっと、そう問い掛けた。

『見りゃわかるだろ。 同じ顔してんだから…』
『すんごいカッコイイじゃん! 紹介してよ!』
『またね…』

窓に寄り掛かりそう言うと、俺は目を閉じそのまま眠りに着いてしまった。

この先の悲劇を知らずに…




『(雅)おやつ食う人〜!』
『『食べるっ!』』

そんな俺をよそに一行は大盛り上がり。

座席を倒して皆でお菓子を食べた(らしい)。

『(真)新ちゃんは食べなくていいのかなぁ…』

真由はチラチラと気にしながら食べる。

『(雅)いーよ、少し残しておけば。』

雅は食べているじゃがり○を俺の耳に挿した。

『(功)ブッ 絶対に怒るだろ!』
『(雛)いくら新でも気付くって!』
『(雅)絶対に気付かねぇって! なぁ、紗奈?』
『(紗)遠足でもやってたもんね♪ 雅達!』

得意げに笑う紗奈と雅。
皆もクスクス笑いながら俺は放置され…

そんな騒がしい奴らを乗せ、バスは目的地へと進む。