(洋side)
男達の下品な笑い声が広いホールに響く。
俺は和之が来ない事に対し、怒りどころか安心を感じ重い体を壁に預けた。

その時だった。
薄暗い廃墟に光が射したのは…

『誰が見捨てたって?』

え…?

光の射し方を見ると、そこには見慣れた和之の姿があった。

『和之…何で…?』
『来るなって言われたから。』
『…はぁ?』
『それに洋には聞きたい事もあったし、まだ死なれちゃ困るんだよね。』

和之はニコッと笑うと俺の手を拘束していた縄に触れた。

『お前ッ 勝手な事をするなよ!』

男が怒鳴りながら和之を指差す。

『だって迎えに来ただけだし、それとも君達は俺まで殴るつもりだった?』
『…それはお前次第だな!』

男は偉そうに踏ん反り返ると俺達に少しずつ近づいてきた。

それと同時に和之が俺の耳元で呟く。

『家庭科室からナイフ持ってきたけど縄がキツいから最悪、腕までいくかも…』

腕…?って…

『痛…ッて〜〜!!』

何の事か理解する前に手首に激痛が走った。

手を見るとナイフでスパッと切れた部分から血が滲んでいた。

『最悪、腕まで…って言ったろ?』
『てめ…ッ…』
『さぁ、片付けて飯でも食いに行くよ!』

和之は笑顔で俺の頭を叩いて真っ直ぐ男達を睨んだ。

そこから俺達の反撃は始まる。