ジッとその瞳を覗き込む。
大きな瞳をさらに見開いて、その中に片眉をピクリと持ち上げた俺を映してる。
「ちゃんと言わなきゃ、わかんないだろ」
「…………要は、ずるい」
俺が?
ずるいのは未央じゃん。
顔を背けようとした未央の頬に触れて、もう一度こっちを向かせてわざと意味深に視線を絡ませる。
「んな顔すんなよ。 このまま食っちゃってもいいんだけど?」
ガオーって感じでぽってりとしたその唇に、俺はわざと歯を立てた。
大きな目をさらに見開いて息を呑む未央。
呆然と開いたままの口。
一瞬フリーズしてた未央は、ハッと我に返ったようにボボボと頬を染めて。
まるで金魚みたくその口をパクパク動かして声にならない声を上げた。
「○!△※☆ッ………あっああの、だ、だって要! きょ、今日ずっと眉間にシワ寄ってて……
そ、それに……っ
あたしといるよりジーナさんといる方が楽しそうだったし……。
やっぱり要はあたしみたいなお子ちゃまよりあーいうお姉さんタイプの方がいいのかなって……。
それであたしに飽きちゃったから、美咲さんのことに戻るってさっき電話でそう言ってたじゃんッ!」
「…………」
真っ赤な顔を隠そうとしてるのか、俺のキスをすり抜けて顔を逸らした未央は涙の溜まった瞳をキュッと閉じて一気にそう言った。
今度は、俺が固まる。
途切れた思考をなんとか繋ぎ合わせてジロリと未央を見た。
「はああ? なんでそーなんの」
ってかそんな話、美咲としてないし。
しかも、今日ずっと不機嫌だったのは、未央。
お前のせいだっつの。
呆れて、思わず覆いかぶさっていた体を離す。
ついでに脱力感にも襲われて、力のない溜息が勝手に零れた。
「……アホらし」
「なによ……。
なによッ! 要、ジーナさんとキスしてたじゃん!」