[要sid]





「…………」




壁に体を預けたまま、階段を見上げる俺の口は塞がらない。



……なに?

なんで?



眉間にグッとシワを寄せて、唇を結んだ。



あの青ざめた顔。
潤んだ瞳。



「……」



んで、怒ってんだ?
……なんにしても、どーせしょーもない事を気にして勝手に勘違いしてるに決まってる。



「はあ……。人の話を最後まで話を聞けっつの」



溜息をついてクシャリと後ろ髪をすいたのと同時。



「要くん」

「……ッ」



いきなり声をかけられて、驚いて思わずビクリと肩が震える。
平静を装いながら振り返ると、そこには呆れ顔のおばさんがいた。



うわ。

今の聞かれてた?


未央の勘違いただとしても、なんだかそれをおばさんに聞かれてたと思うと居心地が悪い。


なんとなく気まずくて、おばさんを上目遣いで見上げた。



「要君にお願いがあるの」

「……はあ」



まるで瓜二つ。

小さな体に小さな顔。

その中の、大きな瞳が俺を捕らえた。