どんどん冷たくなる体。
震える唇。
あたしはギュッとスカートを握りしめた。
「……」
俯いた視界がどんどんぼやけていく。
なによ……なんで?
今日の事が原因?
それとも美咲さん?
また……泣いて電話かかってきたの?
だけど嬉しそうだったじゃん。
さっきの電話、楽しそうに話してたじゃん……。
だから?
やっぱりあたしなんかより。
あたしみたいに素直じゃなくて胸もちっちゃい女の子より、美咲さんがいいの?
「美咲がさ……」
バカ……。
「要のバカあああっ」
「――はあ? ちょ……なん……」
思い切り要の言葉を遮って、あたしは階段を駆け上がった。
――バタンッ!
走り去るあたしの背中に、なにか言いかけた要を振り切るように勢い良くドアを閉める。
「…………」
急に訪れる静寂。
それは耳が痛くなる程で、耳鳴りがした。
ガクガク震える足が、一気に崩れる。
「はあ……はあッ……」
なに?
なんだったんだろう、今の。
……あたしの気づかないうちに心変わりしちゃってたの?
その相手がよりにもよって美咲さんだなんて!
「…………」
そっと顔を上げる。
そこには、まるで写真みたいにさっきと変わらない満月があたしを優しく見下ろしていた。



