続♥苺キャンディ


メインストリート、ミシガン・アベニューを
少し入った裏通りに俺の通ってる店がある。


古い赤壁に、『shine』と書かれた古い看板。

高い高層ビルの隙間に埋まるように、遠慮がちにその店は存在してる。


隣には同じように、昔からあるような味のあるキャンディの店。
いつも小さい子供や、どこで聞きつけたのか観光客なんかで賑わっている。





深緑の木製のドアは開けるたびにギギギと重たい悲鳴を上げる。

店内は薄暗いが、並んでいるジュエリーを照らすオレンジの光が、とてもそれらを魅力的に浮かび上がらせた。



BGMは黒人のマスターの趣味なのか、ブルースが多かった。



この店のマスターが気のいい奴で、俺が真剣いシルバーリングを眺めていると「アクセサリーは作り手の感情が宿るんだ」と、気さくに声をかけてくれた。



それから俺はバイトの帰りなんかに立ち寄って、マスターと話をするようになった。




「暇な時、好きなだけ見ていくといい」




そう言ってくれて、今に至る。


ほんと、こっちの人は陽気だし、気楽だし。
アメリカに移住したくなる気持ち、少しわかるな。


今日もバイト帰りに少しだけ店に顔を出した。

マスターのうんちくを適当に聞きながら、デザインを考えるのが結構好きだったりする。




「カナメ、帰るのか?」


「あぁ、また明日来るよ」




鞄を背負いながら振り返った俺に、マスターは何かを投げてよこした。



「じゃあ、これ持ってけ」



それは綺麗なアーチをえがいて、俺の手のひらにすっぽりとおさまった。