だけど、そんなのかっこ悪い。

こんな事で、イラついてる自分が嫌になる。



未だに楽しそうに、ケンゾーと笑いあってる未央をぼんやりと眺めながら。

未央にイラつくのは間違ってる。


アイツは、あーゆうやつ。

誰とでも仲良くなるし、鈍感なのもそれは今に始まった事じゃない。

コロコロ変わるあの表情。



そこに惹かれてる。

あれが、「素」なんだ。




だけど……。




「……何してんだ。 俺は」



勝手に溜息が零れる。



ジーナの言ってる事は、間違ってない。



……なんで俺が遠慮してんだよ。
あー、なんかマジ腹立つ。


未央の楽しそうな様子に、ケンゾーのヤツのあのうれしそうな顔。




……くそ。


眉間がピクピクと痙攣する。

「負」の念をあいつらに送ってると不意に目の前に影が落ちた。




「……カナメ」

「……」


風にさらわれそうなほど小さな声。
見上げてみれば、今にも泣き出しそうな顔したジーナ。


な、なに?



思わず身構えた俺の耳元にジーナはその唇を寄せた。




「アンタって……イイ男」





…………え?