色とりどりのパラソル、真っ白な丸テーブル。
ここに座ってると、まるで南国だ。
深い緑の木々が、風に乗ってザワザワと音を奏でる。
たくさんの人ごみの雑音さえも、ひとつの音楽に聴こえた。
俺はひとり、残ったジュースを手に取るとそれを喉に流し込んだ。
どうしてこんなに時間がゆっくり流れているんだろう。
日本にいる時は、毎日が慌しく時間に追われてた気がする。
あー、でも。
そうだな……あの時間は、楽しみだったかもしれない。
未央が起こしに来る朝の時間。
あの時、実は寝てるふりして起きてる時もあったりして。
だって、寝てて起こしに来たヤツ誰でもかれでもベッドに引きずり込むなんて。
そんな悪趣味、俺にはない。
やったのはもちろん、わざと。
未央を初めて抱きしめた時の事を思い出す。
思ってたよりちっこくて、華奢で『あー、女の子なんだな』って実感した。
あの時の未央は、まだ俺のことなんとも思ってなくて。
むしろ嫌なヤツくらいの事思ってて。
それなのに、顔真っ赤にして『おはよ』って言ったあの瞬間。
理性が崩れそうだった……。
なんでもない顔すんのに必死だった。
もう、1年も前の話になんのか。
俺と未央との関係もだいぶ変わった。
変わったけど……。
「あはは! ケンゾーさん、すごいっ」
「でしょ? ど?俺に惚れた?」
「……えっ! な、なんでそうなるんですか!」
BMXを巧みに操るケンゾーを見て、大喜びの未央。
ケンゾーの余計な一言にいちいち反応して顔を真っ赤にする。
こっから見てると、ケンゾーと俺と。
どっちが彼氏かわかんねぇじゃん。



