やっぱり俺の事なんかまるで無視。
ケンゾーは、まだ揺れているボートから手を伸ばし、未央の手に触れた。
「えッ? あ、危なかったけど……平気」
「そか。 それは良かった。 未央ちゃんに何かあったらちゃんと責任とらなくちゃ」
慌てて触れられた手を離し、大袈裟に顔の前で手を振ってみせる未央。
なに勝手に触ってんだよ。
眉間がピクリと動く。
「……せ、責任?」
「そう、責任」
ビクビクしながら首をかしげた未央に、意味深な笑みを浮かべるケンゾー。
ジーナは、そんなふたりを何故か黙ってみてる。
それから岸に戻った俺達は、公園の近くのオープンカフェでやたらこってりなハンバーガーを頬張った。
「おいし~っ」
「でしょ? ここ、私のオススメ。 見晴らしもいいし、デートには最高なの」
ジーナと未央は今が一番至福の瞬間だと言わんばかりに、顔が隠れてしまいそうなでっかいバーガーにかぶりついていた。
そんなふたり……いや、未央を眺めながら嬉しそうに目を細めるケンゾー。
そのケンゾーをチラッと気にする俺。
……なんなんだ?
こんな事、どーでもいいのに。