「ミィ」


その先には、小さな仔猫。
あたしと目が合うと、より一層その体をこすり付けて来る。


「お前は甘えん坊だね」


あたしは、そっと抱き上げてふと気づく。



似てるんだ……。


猫はあたしの腕の中で気持ち良さそうにグルグルと喉を鳴らす。

あたしは、頬を緩めてまた顔を上げた。


うん。 そっくり。




「…………」



ジッと見つめていると、要は少しだけ振り返った。
そして、あたしに抱かれている仔猫に気づき、眉間にシワをよせ、明らかに嫌な顔をした。



「……俺に近づくなよ」



そう言うと、要はテーブルに置いてあったカップを手にした。



ほんとに嫌いなんだ……
なによ、似たもの同士じゃんね?



「ねー?」



あたしの声に反応し、仔猫は「ミャー」と小さく返事をした。


そんなあたしたちを見て要の大袈裟な溜息が聞こえた。
なにか考え事をしていた要は、ソファの上に乗せていた足を下ろすと、カップをテーブルに戻しながら振り返った。



――ドキン――



思わず、体が震える。
要は、少しだけ伸びた前髪の隙間からあたしをとらえたまま、視線を逸らそうとしない。



……なに?