[未央sid]







真夏の太陽は、今日もキラキラと照り付けている。




朝から、要は機嫌が悪い。




今日は日曜日。
珍しく朝早く自ら起きてきた要は、ママの趣味で固められたリビングのソファに腰を落としてる。 

白を基調とした空間は、少しだけ気温を下げてくれてるように感じた。



大きな窓を開け放って、白いカーテンが風に乗って心地よいリズムで揺れている。


そして。


そのカーテンを通り越してきた風たちは、緩くパーマのかかった要の黒い髪を撫でた。




なんだかそれだけで絵になるようで、あたしは少しだけ佇んでそれを眺めていた。




それに気づいたのは、要だった。

あたしに気づいた要は一度だけ振り返ると、また姿勢を元に戻してしまう。



怒ってる……。

機嫌が悪い時、要は何も言わない。
なにが原因、とか。 何も。


何も言わないで、あたしに無言の圧力をかけてくる。



それが一番有効的だといわんばかりに。



うん……確かにそうなんだ。


あたしは、それだけで泣きたくなる。
その大きな瞳に見つめられるだけで、なにもかも見透かされてるみたいな気分になるの。


時々……ほんとにたまーにだけど。

それが、怖くもなるんだ……。

要は、あたしも心を知っていて、だけど何も言わないのは「理由があるんだ」って。



機嫌がいい時には、あたしの体に巻きついてきて。
とことん甘える要。



「ミャー」



不意に足元でか細い鳴き声が聞こえて。
あたしは視線を落とした。