頬杖を付いたまま眺めていると「ねーねー」と未央がTシャツの袖を引っ張った。
「?」
振り返ると、未央はいつの間にかすぐ傍でちょこんと腰を下ろしていて、嬉しそうにその小さな体を俺に寄せた。
短いシフォンのスカートから白くて細い太腿が覗く。
「……」
無意識に、目がそこにいってしまう。
細いけど、しっかりと筋肉がついて、ほど良く贅肉ものって。
プニプニしてて気持ちがいい。
手に吸い付くような未央の肌が、俺は好きだった。
「もっと早くここに連れて来てもらえばよかった。マスターも素敵な人だし」
「あー……だな」
未央の話を半分うわの空で聞く。
太腿に視線を置いたままだった俺の視界に、未央のぽってりとした唇が割って入ってきた。
そして、その唇は俺の耳元へ。
「なんだか、あの人といる要、すっごく楽しそうだったね」
――――は?
未央がそう言って指差した先。
それは。
いまだに指輪を見つめる、ケンゾーの姿だった。
……俺が、楽しそう?
お前、俺の何を見てたの?
「そうでもねぇよ」
「要?」
俺はそうとだけ言うと、再び参考書に手を伸ばした。
その瞬間―――……
ドアが壊れそうな音を立てて勢い良く開いた思ったら、息を切らして誰かがそこに飛びこんできた。



