見た目通り、ハーレー馬鹿。
単純で女たらし。
これ、全部マスター情報。
……最悪じゃん。
って、俺も人の事いえないかもれないけど。
きっとこいつよりマシ。
「その指輪……手作りだよね?」
「あ……うん」
指輪……?
ああ、俺が未央にあげたやつか。
苺のモチーフをあしらったシルバーリング。
ケンゾーの言葉が気になり、俺は顔をあげた。
「これね?」
暗い店内でも、未央の顔がほんのりピンク色に染まったのがわかった。
その表情がなんとも言えず、心をくすぐった。
俺の初めての作品。
不恰好で、サイズが少しだけ大きな指輪。
明らかに素人が作りましたって代物。
そんな物のために、そんなに照れている未央が不覚にも可愛く見えてしまう。
思わず、頬が緩みそうになった、その時。
「ちょっとそれ、キミに合わないんじゃない?」
「え」
ジッと未央の指を見つめていたケンゾーは、そう言って顎に手をあてて唸った。
予想外の非難の声に、未央が固まる。
「うん。 未央ちゃんにはもっと華奢な方が合うよ。 ほら例えばこんな」
動けない未央。
そんなのお構いなしで話し続ける、ケンゾー。
俺も、自分の額に青筋が立つのがわかった。
……へ~え。
言ってくれるじゃん……ケンゾーの野郎。



