……は?
今、何つった?
「……あ、あの?」
「キミは美しい」
“ウツクシイ” そう言ったのか?
未央に向かって……?
美しいって器じゃねーだろッ!
未央は、どう見ても子供じゃん!
目の前のタラシ男。
固まる未央。
呆気にとられる俺。
……目が完全、ハートになってんじゃん!
マジか?
マジなのか!?
旬以外に物好きがいんのかぁ?
……一体なんなんだよ
「騒がしいと思ったら……まぁたお前かッ! 何してんだ ケンゾーッ」
男を睨んでいると、ザワザワした騒音の中から聞き覚えのある声がした。
その声に、我に返って顔を上げる。
いつの間にか俺たちの周りには人だかりが出来ていて。
その間から顔を出したのは、呆れたような、怒ったような表情のマスターだった。
「……マスターの知り合い?」
ケンゾーと呼ばれた男は、マスターの声さえ耳に入っていないようで、掴んだ未央の腕を離そうとしない。
未央との距離を詰め寄るケンゾー。
引きつった表情のまま後退りする未央。
そして。
「キミは俺のハニーだッ」
「はぁぁあああ!!?」