続♥苺キャンディ

視線の先には、この事件の発端。

……それは失礼か。


ハーレー男は、大きなサングラスを取ると、膝をついて未央の顔を覗き込んだ。



切れ長の漆黒の瞳に、褐色の肌。


東南アジアの出身か?
俺がその顔をじっと見つめていると、その男は未央の体についたキャンディを払い出した。



「あ…あの! 大丈夫ですからっ」



未央は慌てて両手を顔の前で振った。


日本語で話しても、伝わんないじゃん?
そのジェスチャーである程度わかるかもだけど……



「……That…」そう言いかけた俺の存在なんかまるで無視して、なおも男は未央の髪についたキャンディの粉を払う。


……おい、何 気安く触ってんだよ。


ピクピクと眉間が動く。
そして男は、未央の前髪のキャンディを手に取ると、それを自分の鼻へ持って行った。



「そうもいかないよ。 前を見てなかった俺がいけないんだから……」




――は?

って、日本語!?



「平気ですよ。 それよりも得しちゃった気分ですっ。 だってキャンディのシャワーなんて、滅多に浴びれないもんッ」



あ? お前も なに言ってんだよ?



日本語を話したこの男にも驚いていたけど、未央のその言葉にさらに開いた口が塞がらない。



悪いのはこの男なんだ。
ちゃんと謝ってもらうのは常識だろーが。



……でも。



ポカンと口が開いているのは、俺だけじゃなかった。



暫く黙っていたその男は、ポツリと呟いた。








「……なんて美しいんだ……」