ゆっくりと場所を移動する“未央の手”に気づく。
……?
「ミィー」
甘えた声が聞こえたとほぼ同時。
未央に覆いかぶさっていた、丁度俺の目線の先。
それは顔を覗かせた。
まるで「遊んで」とでも言うように瞳をキラキラさせて。
そしてまた一声。
「ミャー」
「……!?」
一瞬の沈黙の後、驚いてガバッと身体を起こした俺の手は、見事に猫の尻尾も巻き込んだ。
「うあッ! なんでお前がここにッ」
「ミャオンッ!?」
悲鳴にも似た鳴き声を発しつつ、俺の顔にも小さな手が飛び込んできた。
「…………」
「……あ、要……大丈夫?」
「……痛てぇ…… クソ。 こらッ猫、逃げんなッ」
たいした傷でもなかったけど。
猫を未央だと勘違いした事もなんだかかっこ悪くて。
俺は、逃げ惑う猫を真剣に追いかけた。
仔猫の尻尾を目で追いながら、俺は。
「つかまんなよ」と思わず願ってしまった。



