「きゃあ☆ ネコちゃんだったのか~! くすぐったいじゃない」
未央はそう言うと、足元に居るらしいネコに歩み寄った。
「ちょ……おい、どうする気だよッ?」
「え? どうするって……ほら、こっちおいで? キミ迷子なの?それともノラ?」
未央は俺の言葉を半分聞き流しながら、草むらの中からじっとこちらを伺う金色の光に声をかける。
「おいで~? 怖くないよぉ」
「ミャア」
そのネコは、ゆっくりと差し出された手の匂いを嗅ぐように暗闇から姿を現した。
歩道の街灯に照らされて、ほのかに浮かび上がったシルエット。
モノクロに見えるそのネコは、警戒心を解いたのは未央の手に小さな頭をなすりつけている。
「……よしよし。 お前人懐っこいね? 飼いネコだったのかな」
喉をグルグルと鳴らし、未央に抱えられるネコは抵抗をしない。
綺麗な毛並み。
ノラには見えなかった。
俺に背を向けてネコの体をさすっていた未央は、突然何かを思いついたように振り返った。
「ねぇ、要ッ!!」
「それだけはやめろ」
「……えー……まだ何も言ってないよ」
「言わなくてもわかるんだよ。 どーせ、うちに連れて帰りたいって言うんだろ?」
呆れたように言うと、未央は頬を膨らませた。
でも、俺にはそんなの関係ない。



