……ってかさ、おかしくないか?
落ち込むのは俺だろ?
いつもいつも拒否られてんだからさ……。
……意味わかんね。
「…………」
でも。
俺のことで悩んでるその顔が、もっと見たい。
もっと困らせたいって思うんだ。
「未央?」
俺は自転車を止めて、未央の傍へ歩みよる。
「…………」
ジトッと恨めしそうに見上げるその大きな瞳に、空に浮かぶ星達が映ってる。
湖からの風が、俺たちの間をすり抜けて髪を、服を揺らす。
それは、高校の時。
桜の下で佇む未央を見つけた時のように、風は俺たちを包んだ。
「……要?」
顔を少し歪ませた未央は髪を耳にかけながら、俺を見つめる。
……お前、わかってねぇだろ?
俺がどんだけ想ってるか。
お前を手に入れるためにどんだけ必死になったか。
だから、ムカつくんだ。
「お前見てると、いじめたくなる」
「はぁあ!?」
にやっと笑った俺の顔を、ぽかんと口を開けて見上げる未央。
そして俺は。
その唇に、キスを落とした。



