「仕方ない。 未央ちゃんはまたここに一緒に住んでもらうよ?」
「え?」
「要と2人きりなんて……おじさん、君のお父さん達に申し訳なくて。 そーいう事はちゃんと段取りってものがあるんだから。 要もだ!ちゃんと考えて行動しなさい」
「……」
要といえば、はんにゃのようなおじさんに睨まれても全く動じていない。
それどころか興味なさそうに、あたしのスカートの裾を、おじさんに見えないところでいじっている。
「要ッ!」
「……わぁーったよ」
凄みの利いた声に、ビクリとその肩を揺らして、
髪をくしゃりとすくいながら、要は唇を尖らせて見せた。
「……ぷ」
まるでおもちゃを取られていじけてる子供みたいな、要のその姿に思わず笑いがこみ上げる。
「あはッ、あははははは!」
「……?」
「未央ちゃん?」
ホッとしたのと、要とのアパート暮らしがなくなってしまったのとで、なんだか複雑な気持ちになる。
体の奥から楽しくて。
涙が零れるまで、笑った。
そんなあたしを見て、おじさんは困ったように眉を下げるてから。
それでも嬉しそうに「また賑やかくなるね」と笑ってくれた。
要は、奇妙なものでも見るかのように眉をひそめて。
そしてまた視線を逸らしてしまった。



