自分の気持ちを。

相手にどれだけ伝えれてるんだろう。




言いたいコト、全部伝わってるんだろうか。





うんん。


きっとそれは無理。




だから人は、言葉を交わすんだろう。

愛を伝えたいと思うんだろ。




知ってほしいから。


自分の事を。
そして、知りたいから。




傷ついても、へこたれても。

それでもやっぱり、あたしはこの気持ちを伝えたいだろうな……。








「要……」

「んー?」

「助けてくれて……ありがとう」

「……うん」



腕の中からなんとか呼びかける。

ぶっきらぼうに返事をする要の顔が見たくて、あたしはそっとその顔を盗み見た。



チラリと視線を落として、あたしを見下ろした要。


真っ黒な髪が、木漏れ日の中で風に遊ばれてる。
後ろの髪が、持ち上がって前髪を揺らした。


キレイ……。



なんでこんなに要はキレイなの?



女のあたしが見惚れちゃうくらいだよ?





「あたしね……要が大好き」


「……」





言ったら、また涙が零れた。


気持ちを口にするだけで溢れる涙があるなんて。


あたし、初めて知った。