あたしの頬を両手で挟んで、溢れる涙を全部拾ってくれた。
手の中に納まる、小さな小さな鍵を、あたしは大事に胸にしまって。
そして笑いながら頷いたあたしを、要はそのままグイッと抱き寄せた。
「わッ」
もうこれ以上くっつけないってほど、抱きしめられて。
息が出来なくなりそうで、あたしはその腕を掴んだ。
見上げると、そっぽを向いていた要と目が合う。
え?
ほっぺが赤い気が……。
て、照れてる!?
「え、ちょ……要?」
「んだよ、見んな」
「わッ」
嬉しくて思わず笑顔になったあたしの顔を、半ば強引に自分の胸に押し戻した要。
それが照れ隠しだって、あたしは知ってるんだから。
あの公園で。
あの桜の木の下で。
3度目の、告白をしたあたし達。
やっぱりここには、なにか特別な力がある気がする。
―――……そう。
それは。
『素直になる』っていうこと。