木漏れ日の中
要の真っ黒な髪がふわりと揺れる。



長いまつ毛の奥の、色素の薄い瞳。
その中に映る、あたしのマヌケな顔。


ピンク色の唇がクイッと持ち上がって。




固まったままのあたしに、要はそっと手を伸ばした。



あたしの髪をその華奢な指にからめとる。
そしてそのまま、要は自分の口元へ運んだ。



ドクン



音のない、口付け。


お姫さまにでもなったみたい。




要は口付けしたままあたしを見上げると、その唇をクイッと持ち上げた。





「俺は、未央といたい」




小首を傾げて、少しだけ片方の眉を上げて。
まるで子犬のような瞳であたしを見つめる。




「前にも言ったろ? もう離れないって」




そう言って、呆れたように「にゃはは」と笑った要。




「なに泣いてんだよ。 ほんと泣き虫だな」


「だっ……だってぇ……うぅ……」




本当に要ってずるいよ。

そんな事言われて、頷かない女の子、この世界にいると思う?


絶対に確信犯。