あたしは、どこに行けばいいんだろう……。
荷物は全部飛行機に乗っていっちゃったし……。
ママに送ってもらおうかな。
怒ってるかも。
サーッと血の気が引いていくのを感じて、あたしはゴクンと生唾を飲み込んだ
これはマジでやばいかも。
「未央」
その声に顔を上げると、缶ジュースを片手に要がチョイチョイとあたしを呼んだ。
桜の木の下は、この公園唯一の日陰で、そこに入るといくぶんか涼しく感じた。
「ん」
「……ありがとう」
古い木の幹に背中を預けた要は、その缶をあたしに手渡してポケットに手を突っ込んだ。
買ってきたばっかりだというのにすでに汗をかき始めてる。
プルトップを持ち上げて、あたしはひと口それを喉に流し込んだ。
「……ねえ、あたし勢いにまかせてこっちに残っちゃったけど……おばさんまたあたしを置いてくれるのかな……」
真っ青な空には、どこまでも伸びていく入道雲。
それをぼんやりと眺めながら、あたしはまるで独り言のように言った。
「うちはダメかも」
「へっ?」
ガバッと顔を上げると、なんとも涼しい顔をした要が暇そうに首元をポリポリと掻いていた。
要の家がダメなら……。
じゃあ、どこにっ!!?
今度こそ目の前が真っ白に……。
「俺、家出ようと思って」
「……」
え?



