続♥苺キャンディ



「要ッ」



パタパタと、その勢いのまま要の胸の飛び込んだ。


グラリと揺れる要。
だけどしっかりと抱きとめてくれて。



あたしは甘酸っぱいムスクの香りに包まれてた。




それだけなのに、泣きそうになって。
要の体に回す腕に、さらに力をこめた。



「……未央、泣いてんの?」

「……泣いてないよ」



あたしを頭ごと抱きしめていた要は、そう言って少しだけ2人の間に距離をとった。


チラリと見上げると、真上からあたしを見下ろす要をパチンと目が合って。



「……」



体中が心臓になったみたいに、ドクンと波打ちだした。


てゆか、ここ……空港だったんだ……。
公衆の面前で……あたしなにしてんだ。



ボボボボボ!


「……あ、あの、えっと……」


どんどん火照る頬を見て、要は「たこ」と笑った。





2人してロビーに戻ると、まだみんないて。
「なにしてんだよ」「お騒がせなヤツらだな」って呆れながら笑われた。





それからあたしは要に連れられて。
真夏の陽射しの中、小さな公園に来ていた。



昔から何も変わらないこの公園は、あたしと要の大切な場所。


ここで、苺の指輪もらったんだよな……。


ブランコに座って、あたしは右手の薬指に触れた。

……でも。





今はそれよりも問題がある。