「未央?」
その時、ママがあたしを振り返った。
ビクリと体が跳ねて、あたしは立ち止まる。
「――どうしたの? 早くしなさい」
キョトンと首を捻るママは、そう言ってさらに先に進もうと体を前に向けた。
「…………」
「未央ッ!!」
――ビクン
ダメだ……
あたし…………
ママと行かなきゃ。
今、要に気づかないふりをしてこの飛行機に乗らないと。
要に触れちゃったら、あたしきっとダメになる。
だから……
要、ごめん…………。
自分の気持ちを振り切るように、あたしは目を閉じてママの後を追った。
だけど。
「未央ちゃん」
あたしを呼び止めたのは、ケンゾーさんで。
その声に顔を上げるのと同時
ケンゾーさんの大きな手があたしの頭に振ってきた。
わッ。
なに?
「いちばん伝えなくちゃいけない事、あるんでしょ?」
「え……」
クシャリと髪をかき回されて、悪戯な笑みを零したケンゾーさん。
……。
「未央ーーッ!」
その声は間違いなくあたしに届いてる。
振り向くと、あたしを見つめる要がそこにいた。



