「ところで、アイツはどうしたの?」


旬が周りを見渡しながら言った。
早苗も「あれ?」って感じで顔を上げると、クルッと視線を巡らせてあたしを見た。


「そういえば、相田は今回こっちに残るんでしょ? ね、未央」

「え? あ、うん……そう……だよ」



そんな早苗の視線から逃げるように、あたしは腕時計を確認して電光掲示板を見上げた。




「……もう、行かなきゃ」



そう呟いて、足元に置いていた荷物を持ち上げるとあたしは小さく息を吸い込んだ。



「それじゃ、またね!」

「うん。 待ってるからね」



これはお別れじゃない。

またすぐ戻ってくる。


大好きな、みんなのもとに。







出発口ロビーを抜けてチェックインを済ませたあたし達。

俯いていたあたしは、大きな荷物をリュックを背負った人が目の前にいた事に気づかずに、そのまま顔からぶつかってしまった。




「……わっぷッ!」



その反動でヨロヨロとよろめいて1歩2歩と後退りをしてしまう。



「大丈夫?」


「あ、はい……平気です……」


「よくぶつかるね」


「はい……」




って、え?



さすっていた手の隙間から、背の高い男の人を見上げる。





「……あああああッ!」