「要くんは全部知ってるはずよ」
「え?」
知ってる?
ママはにっこりと笑みを浮かべ、アイスティを飲み干した。
――ドクン
心臓が鈍く脈を打つ。
背中が急にヒンヤリと冷たくなった気がした。
要は……。
要は、知ってるんだ。
ママが来てる事も。
明日あたしがアメリカに帰らなくちゃいけない事も。
離れ離れにならないといけないことも。
全部。
たった2ヶ月。
だけど、2ヶ月……だよ?
フォークを持つ手が震えてるのに気づいて、あたしはガタンとイスから立ち上がった。
「未央ちゃん?」
「……に、荷物の整理してくる」
いきなり立ったあたしを心配そうに見上げるおばさんに、無理矢理笑顔を作るとあたしはリビングを出た。
両手でパタンとドアを閉めて、その場に立ち尽くした。
「……どこ行ったの」
なんでここにいないの?
それから、夜になっても要は帰ってこなかった。
朝になって、要の部屋を覗いても、そこに人の気配はなくて。
帰って、来なかったんだ……。
朝日が差し込む要の部屋。
相変らず変わった形のチェストの上には、ガラスで出来たアクセサリー入れ。
その中で、シルバーのアクセがいくつも輝いて見えた。
「……」
あたしの指輪……無くなっちゃったんだっけ。
そっと指に触れて、唇を噛み締めた。
バカ……。



