チラチラと目の前を何かが舞ってる。

なに?


あれは、なに?




『……』


そうだ。
桜。

あれは、近所の公園、遠い記憶の中。
あの、大切な思い出の場所。




見上げれば満開の桜。




ピンク色の花びらが顔にかかる。



『冷たい……』



まるで氷のように、ヒンヤリと冷たくて気持ちいい。



ヒラヒラ
 チラチラ


もういいよ……。


 ヒラヒラ
ハラハラ


もういいってば!







――ハッ!






パチンと目を覚ますと、見慣れない天井。



どこだ?



「……いたッ」



体を起こそうにも、なぜか異様に重たくて自由に出来ない。






えーーっと。


なんで?