ボーっと俺を見つめたままの未央。
その瞳はウルウル潤んでいて、焦点が合っていないようだ。
……アホ面。
大丈夫か?
また吹き出しそうになるのを必死に堪えながら。
緩んだ頬がバレないように、口元を手で隠しながら未央の顔を覗き込む。
少しだけ腰をかがめ、首を傾げて。
最高に意地悪な甘ったるい声で。
「まだ 足りない?」
そう言って、にやり。
ボボボと音をたてて耳まで赤くなった未央は金魚のように口をパクパクと動かした。
「えっ! な、ばッ、たた、足りなくなくないッ!」
「俺は 足りないなー」
「なッ! なな……なに言って……」
軟弱パンチが飛んでくる。
それを軽くかわしながら「暴力反対~」なんて言ってみる。
その言葉でさらに膨れッ面になった未央は、懲りずに俺の胸に何度も握り締めた手を伸ばす。
そうそう。
その反応、来ると思った。
って……こんなんで満足してる俺は、ほんとしょーもないな。



