次の日。
まだ太陽が昇らないうちにあたしは布団を抜け出した。
昨日、結局深夜までケンゾーさんや典さんたちと庭で騒いでて、実のトコまだ眠たい。
あたしは髪を高い位置でまとめると、そっと縁側から外へ出た。
音を立てないようにそっと門を開けて、獣道に踏み入った。
「……絶対見つけるんだ」
あたしは自分の右手の薬指にそっと触れた。
なくした指輪見つけて、もう1度要のとこに行こう。
朝日が昇る前に、見つけて。
毎朝の日課みたいに、寝ている要を起こしに行く。
昨日、あたしはそう決めたんだ。
森の中は、少しだけ霧がかかったみたいに朝靄に包まれていた。
足を掠める葉が、湿気をまとっていて冷たく感じた。
確か……ここだ。
あたしが転んだ跡だろうか、その場所だけ土が削れたようになっていた。
両手をついて、あたしは地面を探した。
服が汚れたって、あとで変えればいい。
顔が汚れたって、洗えばいいんだもん。
這うようにして、探した。
「……なんで?」
なんで見つからないの?
どこをどう探しても、石ころしか見つからなかった。
四つんばいのまま、昨日のあの場所にたどり着いたあたしは白く色を変える空を見上げた。
あれが……。
あの指輪が見つからなきゃ、なんにもなんないよ。
「……」
どうしよう。
刻一刻と変化する空を、座り込んだまま見つめた。



