「早くしてね? でないと、あたし……止まらなくなっちゃうよ?」
そう言って、パチンとウインクをして見せた典さん。
それは全然嫌味とかじゃなくて。
背中を押されてるような、あったかい気持ちを感じてしまった。
「――はい」
あたしはそう言うと、典さんにアイスの棒を差し出した。
「え?」と首を傾げる彼女。
「当たり棒です! コレを間違えて買ったおかげですね」
首を傾げてそれを見せるあたしに、今度は典さんが吹き出した。
「……あは。 あはは! ほんとだ、間違えた甲斐あったね。 あたしのドジも役に立つな~」
「ドジなんかじゃなくて、きっとラッキーを味わうために必要な事だったんだよ」
なぜかおかしくて。
体の奥のほうから楽しくて。
あたしも典さんもお腹を抱えて笑った。
ありがとう、典さん。
背中を押してくれて、ありがとう。
「なに? どしたの? 何かあったの?」
その時、両手いっぱいにつまみやらお酒やらを抱えたケンゾーさんが現れた。
でも、あたし。
もうわかったんだ。
ケンゾーさんも、あたしと典さんがちゃんと話が出来るようにこの場を離れてくれたこと。
辛いとき、いつもそばにいて。
イジワルみたいだけど、あたしの背中を押してくれてたこと。
もう、かわったよ?
ありがとう。
あたし、もう1度頑張ってみる。
がむしゃらに、頑張ってみるよ。



