典さんはあたしの目が、揺れた事に気づいてそれからフワリと笑った。
「あたし、未央ちゃんの事好きだよ?」
「え?」
突然言われた言葉の意味がわからずに、ただ頬が火照ってしまう。
好き?
好きって……え?
明らかに挙動不審になったあたし。
典さんは「あは」って笑うと、ノースリーブから伸びた手をうーんと空に向かって伸ばした。
「もしね? 未央ちゃんがやな子だったら、あたしきっと要の事、何が何でも手に入れたと思う」
「……」
押し黙ったあたしに、今度は悪戯な笑みを浮かべた典さん。
「ルックスは申し分ないし。 ついでに優しくて、気が利いて、勘も良くて。だけど、無口で。 無表情だけど、笑った顔が超少年で」
「…………」
「そんな男に、愛されたら、どんな感じなんだろーって」
何も言えず、あたしはキャンディの棒をひたすら見つめて、典さんの言葉を聞いた。
「興味本位だったの。 要に近づいたのは。
それにあたしその時、ちょうど一緒に住んでた彼氏にフラれちゃって。 弱ってたのよね~。
んで、ヤケになってて、要のバイト先で飲んだくれてて。 しょぼーい男に絡まれてたのよ。 いつもなら1人でなんとか出来ちゃうんだけど、その時はやばいなーって感じで」
「……」
典さんは、長くて綺麗な足を自分の方へ引き寄せながら少しだけ口元に笑みを零した。
「でもね? 助けてくれたの。 要が」
「……要が?」
「ん。 仕事の一環なんだろうけどね。 その時のあたしには王子様に見えちゃったわけ」
「……」
そう言った横顔は、とっても綺麗で。
確かに、典さんは要に恋心を抱いてるんだって、わかってしまった。
「仲直りした?」
「ほえ?」
急に顔を覗きこまれて、あたしはおかしな返事をしてしまった。



