「あれ、ビールもうなにの? 典ちゃん、持ってきて?」
「無理。 飲みたいなら自分でとって来てください」
猫撫で声で言ったケンゾーさんの言葉をスパンと切って、典さんはツーンとそっぽを見た。
そんな彼女を見て、ケンゾーさんは恨めしそうに目を細める。
「ちぇー。意外とケチだな」
「……なんか言った?」
「さーて。 久しぶりに日本酒でもいっちゃおうかな。 典ちゃんはど?」
「あ、欲しい~」
素直に立ち上がったケンゾーさんに、典さんもニコリと笑った。
ってゆか、この人たちどんだけ飲むんだろう。
チラリと居間の時計に目をやると、9時を回ったところで。
「夜はこれからよ~」なんて言う典さんはまだまだ飲む気なんだろう。
「……」
チチチ
チチチ
虫の音が聞こえる。
いつの間にか花火も終わっていて。
静寂の中、波の音が耳の奥へ静かに届いた。
「……未央ちゃん」
「あ、はい」
だた黙って三日月の空を眺めていたあたしは、名前を呼ばれてふと我に返った。
ドクン
見ると、典さんがジッとあたしを見つめてて。
急に胸がざわめいて、落ち着かなくなった。



