「未央ちゃんを見つけらんなかったら。 その時はこの俺が未央ちゃんを連れて帰る」
「……」
そう言ってニヤリとしたケンゾー。
ピクリと方眉を持ち上げた俺に、さらに追い討ちをかける。
「なにも言わないって事は認めたってことだよ、要く~ん?」
「……」
まるで挑発するかのように鼻で笑って、なんとも楽しそうに俺を眺めるケンゾーに背を向けると、俺は玄関に向かった。
「――……ふざけんな」
チッと小さく舌打して、さっさとサンダルと脱ぐ。
家の中にいるに決まってんじゃん。
そう思って、1つずつ部屋を確認する。
居間、台所、床の間。
いくつもある客間。
縁側、押入れ。
俺の部屋。
ケンゾーの部屋。
典さんの部屋。
未央の部屋。
だけど、どの部屋も人の気配がなくて。
ドクン
まさか、ホントにこの家の中にいないわけ?
縁側から外を見渡す。
虫の音と、遠くから波の音が聞こえた。
その中に、話し声。
だけど、それはケンゾーと典さんのもので。
未央の声じゃないのは、すぐにわかった。
どこにいんだよ。
クシャリと髪をかきあげた、その時だった。
そういや、まだ見てないとこあったな。
思い出した俺は、外を探しに行く前にそこも覗いておこうと、家の奥へ向かった。
台所を過ぎて、さらに奥へ進む。
「……」
目的の場所。
木で出来た引き戸から、うっすら明かりが漏れていた。



