家に戻ると、ベンチに座ってビールを片手に残り物を片付けているケンゾーがいた。
「……ケンゾー」
未央を追っかけたんじゃなかったのか?
そう聞きたくて、そのまま言葉は喉の奥へ引っ込んだ。
ケンゾーは1度だけ俺に視線を投げかけると、またゴクリとビールを飲み込んだ。
「わかってんだよね?」
「……」
「今回はお前が悪い」
「……」
言い返せない。
顔を背けた俺の視界に、未央の部屋が目に入った。
電気もついてない。
真っ暗だ。
「未央は?」
「そんなの俺が教えるわけないじゃない。 要くん?」
「あ?」
口の端をクイッと持ち上げて、悪戯な笑みを零すケンゾー。
思わず身震いして、俺はキッとその顔を見据えた。
「自分で探しな。 それくらいしなきゃ、キミは未央ちゃんに会う価値ないね」
長い足を組んで、不敵に笑うケンゾー。
俺をおちょくってんのか、コイツ。
ムスっとしてさらに目を細めて、目の前の男を睨む。
「探しなって……ちゃんと居場所わかってんだろうな」
「言ったろ? 俺は教えない」
「お前……未央がまたいなくなってたら……」
「――もし!」
ケンゾーは、俺の言葉を遮るように、そう言ってビールを持ってるその手を伸ばして俺を指さした。



