唇を噛み締めて、泣くのを必死に我慢してる未央。
その顔は、初めて見る顔。
そんな気がした。
ドクン
心臓の奥が、鈍く鳴った。
「未央……」
その場から動き出さない未央に歩み寄ろうと、そこで俺はようやく典さんの手を掴んでいた事に気づいた。
だけど、その瞬間未央の頬には一滴の涙が零れて。
パッと顔を背けたかと思うと、まるで弾かれるように暗闇に姿を消した。
「え、ちょ……未央ちゃんッ」
その後をケンゾーが慌てて追う。
「……」
俺はなぜか、なにかに体の自由を奪われてしまったかのよにその場から動き出せずにいた。
――なんだ?
今のは、俺が悪いの?
俺は、何もしてない。
勘違いしたんだろ、絶対。
勝手に思い違いしてる未央が悪い。
……いや、違うか。
俺が、悪いんだ。
今まで、機嫌悪かったのは。
俺が……俺が典さんといたから?
未央とケンゾーを見て、俺がムカついてたのと同じで。
「……はあー……」
草むらに転がってる懐中電灯を拾って、俺はその手を額に当てた。
「要?……ほら、早く追いかけないと」
「……ん」
そっと背中を押され、俺は重たい1歩を踏み出した。



