俺は何してんだ。
一緒にいる相手が違うじゃん。
急に立ち上がった俺を、潤んだ瞳で見上げる典さん。
「典さん、帰ろう。 みんなここに連れて来よう」
「へ?ちょ……要ッ?」
一気に目が覚めた気がした。
俺を飲み込んでしまいそうな、この七色の光のせいなのか。
それとも、夜空に散りばめられた星屑のおかげなのか。
そんなのは、別にどうだっていい。
理由なんかいくらでもある。
ただ、わかるのは。
――今。
俺は、無性に未央を抱きしめたい。
この手で壊れるくらい抱きしめて。
それから、俺の名前を呼ばせたい。
未央の瞳の中にも、この大輪の花と星達を連れて行きたい。
そう思えてしまったんだ。
訳がわからないと座り込む典さんの腕を掴んで、立ち上がらせた。
急に立ったせいで、少しふらついた典さんの体を咄嗟に支えて「つか、どんだけ飲んだの」って呆れながらその顔を覗き込む。
「もお、急にどうしたのぉ? てゆか、あたしそんな飲んでませェ~ん」
「相当飲んでんな……歩けます?」
「歩けますよぉーだ」
典さんの腕を掴みなおして、顔を上げた俺は暗闇にいる何かに気づいた。
「…………」
「……要」
木の幹に手をついている未央の姿。
その後ろには、ケンゾーがいて。
ジッと俺を睨んでる。
その大きな瞳が揺れていて、今にも涙が零れそうだった。
なんで泣いてんの?
「……未央」
その時の俺は、典さんの腕を掴んでいた事に気づかなかった。



