…………。
マジで?
目の前の花火になんか目もくれず、通話の途切れた携帯を見つめたまま俺は思わず苦笑いになる。
つかアイツ、携帯忘れたな?
「……はあ」
小さく溜息をついて、携帯をポケットにしまった。
参ったな。
ドン
ドドンッ
パンッ
俺の心情を他所に、花火は溜息が出るほど綺麗で。
そのまま木にもたれるように腰を落とした俺の背後で、誰か人の気配がした。
「……?」
振り返ると、そこにいたのは……。
「ここにいたんだ」
「典さん?」
なんで。
って、まぁあの家からは物凄く近いからここに来れても全然不思議はない。
典さんは打ちあがる花火を見て「すごぉーい。 なにこれッ」なんて大はしゃぎ。
「こんな場所があるなんて、ほんとにここは素敵な場所だね」
「……」
そう言った典さんの顔が、ふと未央の顔と重なって見えた。
ほんのり頬を染めた典さん。
お酒の力なのか、ふにゃっとなった典さんは俺の隣にストンと腰を落とすと「花火大会なんだね、超ラッキィ」って笑った。
……未央なら、なんて言ったかな。
未央ならきっと。
『まるで世界にあたし達だけみたい』
いつかの永遠を願ったヨットハーバーの時のように。
そんな照れくさいようなセリフを言ってのけるだろうな。
「要?」
…………。
……。



