1本だけ生えた木にもたれながら、雲ひとつない夜空を見上げた。
そこは満天の星空。
普段は見られないような、幻想的な光景が目の前に広がっていた。
「……」
ふと視線を巡らせると、左の方に無数の光が見えた。
それは家から漏れる電気の明かりで、そこに町があるんだとわかった。
良く見れば、海にもいくつが光が点在していて、何隻か船が出ているようだ。
なにやら、その町から山に向かってオレンジの光が揺らめいていた。
よく目を凝らしてみると、それは山の中腹にまで伸びている。
なんだ? あれ。
もっと良く見ようと、少し身を乗り出したその時。
ピューー……
ドドーーン!
淡いブルーだった海の真上に、突然七色の花火が上がった。
「……」
呆気にとられて、思わずポカンと見上げる。
花火……てことは、あれは祭りの明かりだったのか。
きっとあのオレンジの光の先は、賑やかな屋台に人で溢れかえってるんだろう。
ピュー……ドン ドンドン!
ヒュルルル…………ドーーン
目の前に打ちあがる、大輪の花火に俺は時間を忘れて眺めていた。
こんな特等席、きっとないだろうな。
アイツ、きっと大はしゃぎだ。
俺はどうしても未央に、この場所で花火を見せてやりたくて、ポケットから携帯を取り出した。
カチッとディスプレイを開くと、未央の名前を探してボタンを押した。
『………――プ、プルルル…プルルル……』
耳に押し当てていた携帯を眺めて、パタンと閉じる。
出ない……。
まだ怒ってんのか?
その時、手の中の携帯が今度は俺を呼び出した。
すぐかけ直すなら、早く出ろ。
なんて小さく溜息をつくと、俺は通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『……――……――』
「は?」
だけど、かかってきた相手は未央なんかじゃなくって。
もっと違う人だった。



