そのまま玄関に向かうと、外へ出た。
すぐそこに典さんがいて。
俺をチラリと見上げて、そしてまた足元に視線を落とした。
「……なんスか?」
「……要くん。 冷たいなーって思って」
「……」
バスタオルが入ってるらしい、大きなバックを抱えて典さんは唇をプーっ突き出して見せた。
「つか、それ典さんが言わないでよ」
「なんでよー」
「……理由はないです。 あと。俺、海に付き合えないんで」
「はああ。 やっぱりそう言われちゃうと思った。 もうなんでケンカなんかしてんのよ」
後ろ髪をすきながらそう言った俺に、典さんは大きな溜息をついて恨めしそうに目を細めた。
「そんなの、俺が聞きたいです」
典さんに負けず劣らず、大きな溜息を吐いた俺は、そのままトンと玄関先の柱に背中を預けた。
ほんと。
何をあそこまで意地張ってんだか。
ちょっとほっとくか。
「あのね、意地張ってないで謝っちゃいなよ?」
「……」
俺の考えを悟ったように、典さんはすかさずそう言った。
軒下にいると、真夏の昼下がりもどこか涼しく感じる。
サワサワと木々を揺らし、潮の香りも一緒に俺の元に連れてきた。
どこかで風鈴の音が聞こえる。
「あれ? こんなとこで突っ立ってどうしちゃったの。しかも2人きりで」
「……チッ」
なんとも耳障りな声がして、思わず舌打ちをしてしまった。



