俺はそう言って、立ち上がった。
その一瞬、未央の体が小さく震えたのを俺は見てみぬふりをした。
自分が何言ってんのか、わかってんのか?
俺はジロリと未央を睨んで、さっさとその横を通り過ぎた。
「……」
「……」
唇を噛み締めた未央。
なにに意地張ってんのかしらねーけど。
俺にだって、プライドがある。
未央がそう言うなら、その通りにしてやるよ。
ムカつくから。
「典さん、ちょっと待ってて。 俺も着替えてくる」
俺は典さんにそう言って、また未央の方へ向きを直った。
「え? あ……うん。 未央ちゃんも行くでしょ?水着持ってきた?」
背中から少し困惑したような声の典さんが、俺の背中越しに未央に声をかけた。
再び未央と並んだ俺は、サンダルを脱ぎながら縁側へ上がる。
「えっと……あ、あたしは……」
「未央なら行かないって。 俺らだけで行こう」
俺の顔をチラリと見て、しどろもどろになってる未央の言葉を遮るように言った。
固まってしまった未央。
「……」
「……って、ことでしょ?」
未央にだけ聞こえるようにそう言うと、俺は荷物の置いてある部屋に向かった。
わざと言った俺は、イジワルだろうか?
池に沿って縁側を進む。
それからさらに左へ折れたところが俺の部屋だ。
襖へ手をかけて、だけどそのまま開けずにその手をポケットに突っ込んだ。
「……意味わかんねー」



