あたしがいた場所は、ケンゾーさんちの別荘のすぐそばで。
拍子抜けしてしまうほどだった。
時間もそんなに経ってなくて。
ご飯はまだ温かくて。
ケンゾーさんが、申し訳なさそうにあたしに謝ったけど。
あたしは「いいの、いいの」なんてヘラヘラ笑った。
テーブルに並んだのはどれも豪快な料理ばっかりだ。
ケンゾーさんいわく『男のBIGバーグ』らしくて。
ハンバーガーに、大きな照り焼きチキンが入ってて、それにふさわしい野菜もたっぷりだった。
それに、なぜか真っ白なご飯とお味噌汁も付いていた。
『やっぱり日本で食うのは白い米と味噌汁』らしい。
典さんとケンゾーさんが楽しそうに話をするのを、あたしは相槌を打ちながら笑ってて。
要はそれを黙って聞いてる感じ。
それはいつもと変わらない光景で。
おじさん達といても、シカゴでの暮らしの時も、同じだった。
ミーンミンミンミーン……
チリン―……チリン……
すっかりお腹も膨れて、あたしは縁側に腰を落として庭をぼんやりと眺めていた。
ケンゾーさんに言ったら、さっきあたしが見つけたあの場所が塀の向こう側だったみたい。
「……」
……こんなに近くで、あたし何してたのかな……。
なにもない右手の薬指をキュッと握りしめて、あたしは空を見上げた。
「未央?」
「……」
声のした先を見ると、要がいてあたしを覗き込んでいた。
あたしはニコリと笑みを零した。
「どうしたの?」
おかしいな。
要の顔が、まともに見れないよ……。
見えない。



