真っ赤なアメ車は、真っ青な空の下を行く。
大きく伸びる綿菓子みたいな入道雲。
窓を開け放って吹き込むエメラルドの風が、あたしの髪を揺らす。
都会のビルの合間を抜けて、車はまっすぐに続く海岸沿いを走っていた。
車内に流れるBGMは南国を思わせるようなスローテンポの音楽。
それに合わせてケンゾーさんのハンドルを握る長い指がトントンとリズムを刻んでる。
気持ちいいな……。
どこまでも続いている水平線を眺めながら、あたしは深く息を吸い込んだ。
潮の香りがする。
道の反対側はすぐ山になっていて、森の香りが同時にした。
――ドキドキする。
その時、助手席に座っていた典さんが後ろを振り返った。
「ね、ね、未央ちゃんは今要の家にいるってほんと?」
「え?」
「そうそう。 俺も一緒だけどね~」
「えーいいな。 あたしも居候させてもらおうかなッ」
「ええ?」
「あははは。 賑やかくなりそうだな~」
典さんのやたら高いテンションに、あたしは苦笑いしかできなくて。
そんなあたしの反応を見て、なんとも楽しそうにからんでくるケンゾーさん。
そう。
さっきから心臓がドキドキしっぱなし。
違う意味で……。
だって。
隣に座る要が、窓の外を眺めたままずっとぼーっとしてるんだもん。
時々、ちらりと視線を向けるだけであとは黙ってあたし達の話を聞いてるだけ。
聞いて……るのか?
気まずいあたしを乗せて。
車はまっすぐな道を行く。



