「……」
なんでこんなことになってるんだっけ?
次の日の朝早く。
あたしは家の前に止まってるアメ車を、ただジッと見つめていた。
意味わかんない。
なんで?
なんなのッ?
「おーい、早くしろよぉ。 要は何してんだよ」
「きゃああッ。 この車乗ってみたかったんだ~。 ケン君すごいッ」
「あはは。 でしょ?俺はすごいの」
真っ赤な車の運転席から身を乗り出すのは、この旅行の宿泊場所を提供してくれたケンゾーさん。
そして、その隣には。
「……要ッ!これってどーゆう事? どうなってんの?なんでケンゾーさんだけじゃなくって、神崎さんまでいるのッ!?」
まだ寝癖のついた髪をふわふわさせた要のサンダルが視界に入るなり、あたしはガバッと振り返った。
そうなんです。
なぜか、その助手席には朝も早いってのに爽やかに笑う神崎 典さんの姿。
あの人も一緒なのッ?
「……俺にもわかんねぇよ」
大きくため息をついた要は「面倒くせぇな」ってつぶやきながらあたしの肩から旅行用のバッグを抜きとって歩き出した。
「あ、ちょ……」
「とにかく行こう。 向こう行ってから別行動すりゃいいじゃん」
「……うぅ」
車にいるケンゾーさんたちに聞こえないようにそう言った要。
そんな事言われたら、あたし何も言えないじゃん。
要のバカ……。