チラリと見上げた先には、あたしの顔に視線を落とした要の姿。
目が合っただけなのに、あたしの体がピクンと反応した。
勘のいい要は、あたしのそんな態度に気づいていて。
止まっていた手を動かしながら、小さく溜息を零した。
なにも言ってくれない事に、無性に泣きたくなりながらあたしは唇とキュッとかみしめた。
「……ふーん。海ね」
「え?」
その声に顔を上げると、要があたしを見て片方の眉毛をクイッと持ち上げながら言った。
「未央、水着持ってたっけ?」
「水着……あるよ」
宙を仰ぎながらそう言った要。
その横顔をぼんやりと眺めながら言ったあたしを見て、悪戯な笑みを浮かべてニヤリと笑った。
……へ?
もしかして……もしかする?
海に、連れてってくれるの?
ど、どうしよう……。
うれしくて、口元が緩みそうになってしまう。
その時。
「それならさ……」
席を外していたケンゾーさんがそう言いながら戻ってきた。
いきなり話に入ってきたケンゾーさんは、ソファに腰を落とすと思ってもみなかった提案をあたし達にしたんだ。
「俺の別荘に泊まりに来なよ」
「え?」
「は?」
「……」
え、今……なんかすごい事をサラリと言ったような?
「ちょ、なんて?」
「俺んちの、別荘だよ。 ちょーどキミ達が話してた海に近い場所にあるんだよ。 今は誰も使ってないから、良ければご自由にどーぞ?」
ケンゾーさんはなんでもないようにそう言って、ポケットから取り出した煙草を銜えるとライターに火をつけながら目を細めた。
あたしも早苗も、顔を見合わせてしまう。
そして思わず言葉がこぼれてしまった。
「……マジ?」



