そこには、不思議そうに目を細めたウェイター姿の要。
「わああっ、 か、か、要っ! いつからそこに」
驚いてしどろもどろになったあたしに、要はさらに眉間にシワを寄せた。
「――今。 空いたお皿、お下げします」
「…………」
要は少し呆れたようにそう言うと、テーブルのお皿に手を伸ばした。
まだ怒ってるのかな……。
ちょっとしか見てくれなかった……。
「……」
すぐに離れてしまった要の視線が、もどかしくて。
あたしはただ、流れるような筋肉質の腕を眺めていた。
その時、早苗が頬杖をつきながらあたしの顔を覗き込んだ。
「未央さ、海に行きたいんだよね?」
「え?」
意味がわからずに瞬きを繰り返すあたしから、今度は顔を上げると事もあろうか機嫌の悪い要に向かって話を切り出した。
「明日、2人でどっか行くんでしょ? 未央、海に行きたいって。 この時期はどこもいっぱいだろうから、泊まりなのは難しいのかなあ。 だけど探してみれば、どっかひとつくらいはあるよね?」
「さっ、早苗!」
「……」
なに言ってんのおおっ!
サアアっと血の気が引いていく。
怖くて、要の顔が見れない。
グラスを掴んだ手がそのままで動きを止めている。
早苗はにっこりと笑って「ね、相田くん?」なんて小首を傾げて見せた。



